国慶節(こっけいせつ)は毎年10月1日に祝われる中国の建国記念日です。
中華人民共和国が成立を記念する重要な国家的祝日です。
1949年10月1日、毛沢東が北京の天安門広場で中華人民共和国の成立を宣言したことに由来しています。
この日を中心に中国では7日間前後の大型連休が設けられ、帰省や旅行をする人々で各地が賑わいます。
国慶節の連休は「ゴールデンウィーク」とも呼ばれ春節(旧正月)と並ぶ、中国における最大級の旅行シーズンとして知られています。
【国内は祝祭ムード一色に】
国内は祝祭の雰囲気が国中に広がり、街は中国国旗や赤い提灯が飾られ、赤一色で彩られます。観光地や歴史的な街並みでは、伝統衣装の「漢服」を着た若者たちが記念写真を撮る姿も多く見られ、屋台では地元グルメを楽しむ人々でにぎわいます。
秋の爽やかな気候にも恵まれることから親族や友人が集まりやすく、結婚式を挙げる人も増える季節です。
【大型連休による経済効果】
この時期、大型ショッピングモールでは「国慶節セール」が開催され、街の中心部では家族連れやカップルが手をつないで歩く光景もよく見られ、休日ならではの穏やかな時間が流れます。
夜になると、ライトアップされた夜市(ナイトマーケット)や屋台街が活気づき、香ばしい串焼きやスパイスの香りが漂い、賑やかな音楽が夜の街を彩ります。
また、連休中は高速道路の通行料が無料になるため、車での移動も一気に増加します。
鉄道や航空機などの交通機関も混雑し、ホテルや航空券の価格が高騰するなど、旅行需要の高まりが顕著に現れています。
【増える海外旅行と日本人気】
近年では、海外旅行を選ぶ中国人も増えており、その人気の行先のひとつが日本です。国慶節の時期になると、日本の観光地やショッピングエリアでは、買い物袋を手に、楽しそうに過ごす中国人観光客の姿がよく見られます。
この時期は、日本にとってもインバウンド需要が高まる繁忙期であり、国慶節は中国国内にとどまらず、日本にとってもにぎやかな季節となりつつあります。
【国慶節が映す「多様化する過ごし方」】
2025年の国慶節は、10月1日(火)から10月8日(水)まで。
この連休は、単なる休暇ではなく、人々が「自分らしい過ごし方」を選ぶ時代へと移り変わっています。
帰省して家族と過ごす人、国内旅行を楽しむ人、海外でのんびり過ごす人、自宅で静かに過ごす人など、選択肢は実にさまざまです。その背景には、居住地、世代、経済状況だけでなく、ライフスタイルや価値観の多様化が色濃く反映されています。
【インバウンド戦略における「国慶節」の重要性】
これからも、中国国内外の旅行や消費の動向は大きく変化していくと見られます。
国慶節は、訪日観光市場にとって単なる繁忙期ではなく、中国人旅行者の“今”を知る貴重な機会です。
彼らの行動傾向やニーズを深く理解することは、今後のインバウンド戦略の精度を高める鍵となるでしょう。