新型コロナウイルスによる入国制限の影響が緩和されて以降、訪日旅行は徐々に回復していき、特に2025年に入ってからは、その勢いが一段と強まっています。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年1月から7月までで日本を訪れた中国人観光客は約570万人に達しており、これはコロナ前の2019年同時期(約558万人)を上回る数字です。さらに、1月の訪日中国人は約97万人と過去最高に達しており、これまで訪日観光客数で最も多かったのは韓国でしたが、近年では中国がその数を上回り、1位となりました。
これは、上海〜熊本や青島〜静岡の新しいフライトが始まったほか、瀋陽〜関西や上海〜広島の便が増えたことにより、地方の航空座席数が増加しました。
さらに、クルーズ船の寄港や学校の休みによる、スクールホリデーの影響もあり訪日外国人の数は前年の同じ月を上回りました。
また、旅行者数だけでなく消費額も以前より高く、2025年上半期外国人消費全体の約20%(5,160億円)を占めており、他国と比べても大きな経済効果をもたらしています。
一方では高級ブランドの売上減少が報じられることもありますが、それは訪日観光客数の減少というより、消費スタイルや為替変動の影響によるものと考えられます。
総じて、2025年の中国人による訪日観光は、人数・消費額ともに回復基調にあり、むしろ活発化しています。観光業界にとっても、中国市場は今もなお最も重要な存在であることに変わりないといえるでしょう。
現在では訪日スタイルも変化していき団体観光から個人観光へと転換が進んでいます。
旅行者の多くは都市部だけでなく、地方や自然豊かな地域への関心を示しており、宿泊・グルメ・文化体験など「プレミアム体験」を重視する傾向が強まっています。
「大阪・関西万博」開催により、関西地域への誘客も強化されている中、春節後も引き続き夏休みや国慶節に向けたプロモーションが鍵といえるでしょう。