街を歩けば、中国語での会話が自然に耳に入る。
そんな光景がすっかり日常になった今、中国から訪日する旅行者は再び増加傾向にあります。
しかし、彼らの「旅の情報源」はここ数年で大きく変化しています。かつて主流だった旅行会社や大手ポータルサイトよりも、
今の中国人旅行者が信頼しているのは【リアルな体験】【感情に響く口コミ】【身近な人からのおすすめ】です。
小紅書(RED)・抖音(Douyin)が牽引する“体験共有型”の口コミ文化
いま中国で最も影響力のある旅行情報源は、SNSの小紅書(RED)と抖音(TikTok中国版)です。
小紅書では、ユーザーが実際の旅行体験を写真や動画で共有し、
「○○温泉に行ってみた」「日本のおもてなしがすごい!」といったリアルな体験投稿がより信頼されています。
抖音ではVlog形式の臨場感ある旅動画が人気です。
KOL(インフルエンサー)が紹介したホテルやレストランが、翌日には“話題のスポット”になることも珍しくありません。
KOLからKOCへ “共感”が信頼を生む時代
中国の消費行動において、KOL(Key Opinion Leader)の影響力は依然として大きく強いですが、
最近では「有名だから信頼できる」ではなく、「自分の価値観に合う」「リアルな体験を語っている」
そんなKOC(Key Opinion Consumer)にも注目が集まっています。
旅系インフルエンサーが発信する「旅館の雰囲気」「朝食の味」「アクセスの良さ」など、
細かい部分まで伝わるリアルな感想は、フォロワーにとって“友達からの口コミ”のような安心感があります。
最も強力な情報源は「身近な人」
しかし、どんなにデジタル化が進んでも、最も信頼される情報源はやはり身近な友人や家族からの口コミです。
旅行先でのSNS投稿を見た友人が「私も行ってみたい!」と感じるこの“感情の連鎖”こそが、
今の中国旅行市場を動かす最大の原動力です。
これからのインバウンド対策で重要なのは、
「どう発信するか」ではなく「どう共感してもらうか」。
企業や自治体が中国市場に向けて情報発信を行う際には、“共感を生むリアルな体験”が信頼を生み出すポイントになります。